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いかものぐ・い

【名詞/如何物食い・偽物食い】

1 普通には食べない物を好んで食べること。また、その人。

2 粗末な物を食べること。

3 仏教で禁じられている獣肉を食べること。

4 常人と異なった趣味・嗜好をもつこと。また、その人。

   悪食(あくじき/あくしょく)。

家の縁側から、落語家だった祖父の「幾代餅」が聞こえてきます。

今ではその祖父も痴呆となり、落語のことは忘れてしまいました。

朝起きてはご飯を食べさせ、糞尿を処理して、寝かしつけ、共に散歩して。

一面に広がる収穫を終えたニラ畑の中央には、

「町にリニアを」と書かれた古い看板がポツンと立っています。

そこに引っ掛かった凧、そう、あれは僕が昔作った凧、がハタタと山から吹きすさぶ風に揺れています。

絶望的にサイアクな僕を救ってくれるのは、わずかばかりの凧作りと、祖父の落語だけでした。

キグルミ男と同棲しているお姉ちゃん。

地元アイドルオタクのお父さん。

街にリニアモーターカーを止める運動をしているお母さん。

噛み切れないものしか僕の周りにはありません。

ただ、錦絵のような、あの娘以外は―――。

 

リニアモーターカー誘致運動に沸く地方都市を舞台に、 「家族」について問いかけるオレンヂスタ2年半振りの長編新作。

2009年「名古屋大学劇団新生」出身の作・演出「ニノキノコスター」と主宰・プロデューサー「佐和ぐりこ」の2名により結成。 愛知県名古屋市を拠点に活動。派遣問題、部落問題、障害者差別などのマクロな社会問題を、恋愛や家族などのミクロな視点から描き、コンテンポラリーダンスやオブジェクトシアターを取り入れた舞台表現を行う。

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